2009年03月10日
総合人材サービスのマンパワー・ジャパン株式会社(本社・神奈川県横浜市、取締役・代表執行役会長兼社長:ダリル・グリーン、資本金:40億円)は、2009年第2四半期(4-6月期)における企業の雇用計画を尋ねた「マンパワー雇用予測調査」の結果を3 月10 日付で発表します。調査結果は「2009年 4-6月において、貴社または貴機関の雇用計画(契約社員、派遣社員等を含む)は今期と比べてどのような変化がありますか?」という質問に基づいています。尚、本調査はマンパワー社が四半期ごとに世界33カ国・地域で行っている世界で最も広範囲にわたる事前調査です。
今回、日本で行った調査では、東京・大阪・名古屋の企業1006社から回答を得ました。その結果、季節調整後の純雇用予測は-5%で、初めてマイナスの数字に転じると共に、調査開始以来の最低値を記録しています。更に前四半期比は10ポイント減、前年同期比では25ポイント減と、雇用意欲は著しい減退傾向にあることを示しています。
また、マンパワー雇用予測調査は、東京、大阪、名古屋の3地域で地域別の調査を行うと共に、業種別 7 業種*での調査も行っています。
地域別(3ページ目以降に詳細を記載)の純雇用予測(季節調整後)は、3 地域全てにおいて調査開始以来の最低値となっています。東京(-4%)における雇用意欲の低迷は深刻さを増しており、前四半期比では14ポイント減と、調査開始以来初の二桁台の下げ幅を記録しています。3 地域中で雇用意欲が最も低い名古屋(-9%)でも、高水準を維持していた前年同期と比べて 31ポイント減と、30ポイントを超える数値の低下は調査開始以来初となっています。(図 1-1、1-2、2-1、2-2 参照)
業種別(3ページ目以降に詳細を記載)を見ると、7業種全てにおいて雇用活動の低迷が予測されます。7業種中純雇用予測が最も低い「製造」は(-14%)前四半期比 14ポイント減、前年同期比 33ポイント減と、調査開始以来最大の下げ幅となっています。また、「運輸・公益」(-5%)においても前四半期比と前年同期比でそれぞれ 14ポイントおよび 49ポイント減と、調査開始以来初の減少幅を記録しています。(図3参照)
*純雇用予測: 調査結果のうち「増員する」と回答した企業数の割合(%)から「減員する」と回答した企業数の割合(%)を引いた値。
*季節調整値: 月々の変動の癖(季節的要因)を除去したことを推計した値で、調査開始から3年以上経っている国で適用しています。日本では2006年第3四半期から適用しており、全て季節調整値をもとにした分析値を指標にしています。
*7業種:「金融・保険・不動産」「製造」「鉱工業・建設」「公共・教育」「サービス」「運輸・公益」「卸・小売」
【 調査結果 】 2009年第2四半期(2009年 4 - 6 月期)
1)純雇用予測は -5%と、初のマイナス数値に転じると共に調査開始以来の最低値を記録
2009年第2四半期の純雇用予測では、東京・大阪・名古屋の企業 1006 社からの回答のうち、従業員を「増員する」と回答した企業は 27%、また「減員する」との回答は 15%、「変化なし」は 52%で、「増員する」が 16ポイント増加しているものの、雇用意欲は依然として低水準に留まる見通しです。純雇用予測(季節調整後)は-5%で、調査開始以来初のマイナスの数値を記録したことに加え、2003年第 3四半期に調査を開始して以来の最低値となっています。前四半期比は 10 ポイント、前年同期比では 25 ポイント減少しており、雇用意欲は引き続き減退傾向にあることがわかります。
(注:2008年第3四半期より「TRAMO-SEATS」法を採用しており、遡及改定を行っているため、過去のデータが変動しておりますので、ご了承下さい)


2)地域別の雇用意欲は、3地域(東京、大阪、名古屋)全てにおいて調査開始以来の最低値を記録
地域別の純雇用予測(季節調整後)では、3地域全てにおいて調査開始以来の最低値を記録すると共にいずれもマイナスの数値に転じています。名古屋が-9%と3地域中最も低い値を示しており、前四半期比で 11ポイント減、前年同期比では 31ポイントの大幅減となっています。また、東京および大阪の雇用意欲も共に-4%と非常に低い値を示しており、前四半期比では東京では14ポイント減、大阪で2ポイント減、前年同期比では東京で 29ポイント減、大阪では16ポイント減と、引き続き雇用活動の停滞が見込まれます。(図2-1、2-2参照)


3) 業種別の純雇用予測は「製造」が 7業種中最も低く-14%
2009年第1四半期にすでに純雇用予測が大幅に落ち込んでいた「金融・保険・不動産」(-3%)を除き、その他の6業種全てで雇用予測値が減少しています。具体的には 7業種中最も低い「製造」は前年同期比 33ポイント減の-14%で、「公共・教育」「運輸・公益」および「卸・小売」と共に調査開始以来の最低値を記録しており、雇用意欲の回復の兆しは未だ見受けられません。「公共・教育」は-9%、「運輸・公益」では-5%と、前年同期比 26ポイントおよび46ポイントの大幅減となっています。また、「金融・保険・不動産」は-3%で、前四半期と比べると1ポイント増とわずかに数値が回復していますが、前年同期と比較すると17ポイント減と、依然として先行き不透明な雇用活動が予測されます。続いて「鉱工業・建設」の純雇用予測は-1%と、前四半期比で 12ポイント減少しています。 7 業種中最も数値の高い「サービス」が6%、「卸・小売」が 4%とプラスの数値を維持しているものの、他の5業種全てにおいてマイナスの数値となっており、大幅に雇用意欲が低下していることを示しています。(図 3-1、3-2 参照)


4)世界の結果は、シンガポール、ニュージーランド、台湾、アイルランド、スペイン、イタリア及び イギリスで雇用意欲が大幅に減退
世界の2009年第2四半期の純雇用予測では、72,000社から回答を得ました。その結果、調査対象となった33カ国・地域のうち、前四半期と比べ、季節調整前の純雇用予測は 13カ国・地域で増加しているものの、前年同期と比べると全ての国・地域で深刻な雇用意欲の減退が見受けられます。特にアジア・太平洋の 8カ国・地域の雇用予測は大幅な減退傾向にあります。さらに、23カ国・地域においてはマンパワー社が調査を開始して以来の最低値を記録しています。(図4-1参照)
地域別に見ると、アジア・太平洋の8カ国・地域のうち、インド(季節調整後 25%)が前四半期比で 6ポイント増加していることを除き、前四半期比および前年同期比共に全ての国(中国(季節調整後 4%)、オーストラリア(季節調整後-1%)、香港(季節調整後-3%)、日本(季節調整後-5%)、ニュージーランド(季節調整後-10%)、台湾(季節調整後-10%)、シンガポール(季節調整後-45%))において純雇用予測は減少しています。特にシンガポールでは前年同期比 99ポイント減と、急激な雇用意欲の低下が見受けられます。
《 マンパワー会長・社長兼CEO、ジェフリー・ジョレスのコメント --- アジア・太平洋地域 》
2009年第1四半期に高まったアジア・パシフィック地域の雇用に対しては、第2四半期に入り更に悪化することが予測されています。4月-6月期は従来なら企業の採用活動が最も活発になる時期ですが、今回の調査結果ではアジア・パシフィック全体で雇用意欲の減退が見受けられ、これはSARSの感染拡大が問題となった2003年と同水準です。中国では、輸出需要の減退で製造業が最も大きな打撃を受けました。日本、オーストラリア、シンガポールも状況は同じで、雇用意欲は各国で調査開始以来の最低値を更新しています。
北米・中南米の純雇用予測も低い水準で推移しており、全ての国において前四半期比および前年同期比で雇用意欲が減退しています。2002年に調査を開始して以来の最低値を記録しているメキシコ(季節調整後-5%)に加えて米国(季節調整後-1%)、アルゼンチン(季節調整前-1%)グアテマラ(季節調整前-1%)においても雇用予測の数値がマイナスを示しており、雇用意欲の著しい減退が見受けられます。
《 マンパワー会長・社長兼CEO、ジェフリー・ジョレスのコメント --- 北米・中南米地域 》
米国の雇用動向は1982年の不況時と同水準まで落ち込んでいますが、調査対象となった多くの企業が今回の調査で雇用については「変化なし」と回答しています。この結果からすると、現在の厳しい経済環境において、企業は利益の追求と雇用維持の板ばさみになっていると考えられます。
また、ヨーロッパ・中東・アフリカ地域における純雇用予測は、18カ国のうち南アフリカ(季節調整前 14%)、オーストリア(季節調整後 2%)フランス(季節調整後-2%)において数値が比較的安定しているものの、前年同期と比べると全ての国・地域で雇用意欲は大幅に落ち込んでいます。特に、英国(季節調整後-6%)、スペイン(季節調整後-11%)、アイルランド(季節調整後-15%)においては、世界的に見ても純雇用予測が最も低い値となっています。さらに、調査開始以来の最低値を記録した国は、8カ国で(フランス、ギリシャ(季節調整前 0%)、アイルランド、ノルウェー(季節調整後 1%)、ポーランド(季節調整前 6%)、ルーマニア(季節調整前-4%)、スペイン、スウェーデン(季節調整後-5%))となります。
《 マンパワー会長・社長兼CEO、ジェフリー・ジョレスのコメント --- ヨーロッパ・中東・アフリカ地域 》
企業は、今後も就業日数の短縮、給与カット、賃金の凍結など、人員削減に代わる様々な雇用対策を打ち出し、この不況を乗り切るために労働力の現状維持を図るでしょう。

*南米アメリカ各国のうち、アメリカ合衆国、メキシコ、カナダ以外の国においては、調査開始から3年以上経過していないため季節調整後の値は適用していません。

*ヨーロッパ・中東・アフリカ地域のうち、チェコ、ギリシャ、ポーランド、ルーマニア、南アフリカにおいては、調査開始から3年以上経過していないため季節調整後の値は適用していません。
<マンパワー・ジャパン株式会社 取締役・代表執行役会長兼社長 ダリル・グリーンからのコメント>
日本経済は今年に入って1月には既に生産と輸出が過去最大の落ち込みを記録するなど、加速度的に悪化しているといえます。雇用情勢も更に厳しさを増しており、個人消費についても、景気後退の影響が、企業だけでなく家計にまで及びはじめています。
マンパワー雇用予測調査2009年第2四半期結果は、このような厳しい経済状況を反映し、日本の純雇用予測は-5%(季節調整後)と、前四半期に比べて 10ポイント減少したばかりか、前年同期(1-3月)と比べても25ポイントと大幅に減少しており、2009年第3四半期は益々厳しい雇用環境が予想されます。
世界の経済状況をみても、アメリカが引き続き停滞状態であることに加えて、アジアでも昨年とは一転して深刻な景気の悪化が見受けられます。それを受けて、雇用環境も今回の雇用予測調査でわかるように、大幅に減速しているのが事実です。今こそ、日本が雇用促進の牽引役となり、新たな雇用機会の創出を果たすべき時であると確信します。このような状況であるからこそ、多くの求職者の方々のために就業機会の確保と迅速な雇用の提供にむけた新しいサービスシステムを構築していきたいと考えています。
【早稲田大学 武藤泰明教授の論評】
プロフィール
武藤泰明(むとうやすあき)
早稲田大学教授
東京大学大学院(修士)修了後、三菱総合研究所に入社、政策経済研究センター研究部長、
企業経営研究部長等を歴任。企業の経営戦略、組織人事戦略等のコンサルタントとして活躍。
同社主席研究員を経て2006年4月から現職。
2004年3月より、マンパワー・ジャパンの顧問として、雇用予測調査の論評やメールマガジンなどに携わる。
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今回の調査では、純雇用予測は+12(季節調整前、以下同じ)であり、第2四半期としては、日本でこの調査がはじまって以来の最低値となった。日本では、第2四半期には4月の定期採用が含まれるので、他の時期と比べると純雇用予測の値はかなり高くなる。とくに本年4月に入社する学生の採用活動は景気拡大期に行われたものなので、入社による人員増が見込まれる企業が多いはずだが、それでも純雇用予測は+12にとどまっている。前期(第1四半期)が-3だったのでこれに比べれば高いが、前年同期比では27ポイントの低下である。現下の厳しい経済状況が強く反映された結果である。
○アジア大洋州地域で雇用が縮小している
マンパワー社は世界各国でこの調査を実施しているが、各国の今回の純雇用予測が前年同期比でどうなっているかを見ると、米国-16(ポイント。以下同様)、仏-5、独-10、伊-8、西-11、英-12であり、日本より落ち込みは小さい。これに対して、アジア大洋州では中国とインドの落ち込みは日本より小さいが、豪-29、香港-33、シンガポール-99、台湾-31であり、雇用意欲の減速は日本以上といえる。輸出主導型経済成長を実現してきた国で影響が大きいことがわかる。新聞報道は欧米に偏りがちだが、アジア大洋州の多くの国が、日本と同じ経済構造上の問題を抱えている点に留意が必要である。
○内需型産業はまだ堅調だが・・
日本の純雇用予測に戻るなら、地域別では東京+13、大阪+12に対して名古屋が+9と低い。名古屋の強みである製造業の不振が反映された結果ということができるだろう。業種別には、金融・保険・不動産、卸小売、サービス、鉱業・建設が比較的高い。今回の世界同時不況では、先進国の銀行が経営危機に陥っているのに対して、日本の銀行は例外的にダメージが小さい。これ以外で純雇用予測が高いのはすべて内需型産業である。前四半期の本稿のコメントでも示したとおり、日本の不況は製造業、とくに輸出型製造業からはじまっている。経済の実態が純雇用予測にも反映されている。
日本政府は2月26日に。昨年第4四半期のGDP成長率を発表した。前期比で-3.3%、年率換算では-12.7%という大きな落ち込みであった。円高による輸出不振の影響が大きい。四半期GDP成長率の年率換算は少し癖のある統計なので、-12.7%にあまり惑わされてもいけないのだが、とはいえ -3.3%のほうは正確であり、これが本年央から雇用・賃金、そして消費を経由して内需型産業にも影響を与えるようになる。しばらく景気後退が続くということである。
良いニュースとしては、トヨタが5月からの増産を発表した。製造業は過剰在庫が解消すれば生産活動が活発化する。すべての製造業が再活性化するためには、米国をはじめとする世界市場の回復が必要だが、IMF等から公表されている経済予測を見る限り、欧米経済の落ち込みは意外に小さい。その意味では、本格的な回復は2010年になるものの、すでにその端緒は見え始めたということができるだろう。